一蓮托生

参院選が終わりましたね。
途中で衆議院の解散がなければ、後3年間は現在の政治的構成でいくわけです。
ふつうに考えれば、巨大与党のやりたい放題となる可能性が大きい…。
原発の再稼働の問題、TPPの問題、憲法の問題など、どうなってしまうのでしょうか。
どれ1つとっても重要な問題であることに違いありませんが…。
憲法の問題は、やはり気になります。
今回の選挙では、96条のことが先行的に取り上げられていましたが、
政府いや、首相が考えている改憲問題の本丸はどう考えても9条だと思います。

9条を変えて、軍隊を持ち、軍事力を行使できるような国にする。
ある意味で、欧米型のふつうの国仕様にすると言っているわけです。
なので、与党が取り戻す取り戻すと言っているのを聞いていると、
そうか、そうした軍事力を保持して、ふつうの国として再独立を果たし、
アメリカから自国を取り戻すと言っているんだな、なんて考えるのです。
さすが、右よりのナショナリストと言われる首相だけのことはある、なんて…。

でも、そのように考えると合点がいかないことがあります。
首相らは、取り戻すと言っている一方で、日米同盟強化と言っているのです。
だいたい、先の戦争でアメリカをはじめとする戦勝国が、
日本を再軍備化させないために提案した9条なわけですから、
日本が再軍備をするために9条を代えると言ったら、
アメリカでさえ嫌な顔することでしょう。

だから、本来、軍隊を持てるようにし、戦争をできるようにするために、
9条を変更するということと、日米同盟強化は両立できないはずです。
なんで、そんな相反する主張を同時にできるんだろう？
視点を変えて、経済という側面からも考えてみました。
今、日本はデフレで政府はデフレ脱却のために、
資本主義国としては、伝統的な対策手法の政策を推し進めています。
しかし、欧米をはじめとする近代資本主義国は、過去の結果から見ると、
残念なことに、そうした施策によってデフレ不況から脱却した例はありません。
今までのところ、デフレ脱却の最後の手段は戦争で、
戦争によってリセットする方法しか功を奏していません。

では、日本も最後は戦争でも起こして、デフレから脱却するしかないのか？
となると、9条があることは邪魔なので、変更して戦争ができる国にしなくては…。
でも、そうした理由から自ら戦争を起こし、大きな失敗を経験している日本にとっては、
そう簡単には、同じ失敗を繰り替えすにはいかないはずです。
そこで、ふと考える、特に戦後の日本の経済発展手法はどのようになってんだと。
9条があったおかげで、どんな不況の時も、再び、
自らが戦争を起こすという方法はとっていない。
自らは戦争を起こしてはいないが、やはり、
戦争を契機として経済発展を果たしている。

誰の戦争かと言えば、そう、アメリカの戦争です。
アメリカが戦争をすれば、日本も儲かるようにできている。
そのように考えてみると、不況から脱するために、
自らが戦争を起こす必要はないのか…。
親分アメリカが戦争を起こしたときに、軍需関係の物資などを、
自由に生産・輸出できるようにするのが重要なのか…。
とすれば、現在、9条などがあることで、大きな軍産複合体を興こし、
武器等を自由に輸出ができない状態なのだから、そうした意味で、
9条を変更して、大いに儲けられるようにしましょうということなのか。
つまり、9条を変更するということは、経済的成長戦略の切り札なのか（死の商人化）…。

このように考えてみると、9条の変更と日米同盟強化の両立に合点がいく。
でも、アメリカとのビジネス関係の強化、言い換えれば、死の商人提携化のために、
9条を変更したいと言っても国民が納得しないから、
国民のナショナルな意識を梃子にしようとしてるんだね。
たぶん、アメリカには、安保ならびに地位協定の強化維持が、
前提の話ですからと了解を得てるんだろうね。
こうした線での日本の経済的発展は、アメリカにとっては、
東アジアにおける軍事的な力や、軍隊駐屯の経済性などを、
簡単に維持することに繋がるのだから、うまくやってねっていう感じなんだろうね。
当然、日本からの輸出ばかりでなく、アメリカからの輸入も兵器等々増えるわけだから。
こうした文脈で考えると、TTPも分かりやすい。一蓮托生強化だ。

アメリカ軍と自衛隊との関係強化もそうだ…。
軍事同盟、経済同盟強化というだけでなく、アメリカへの従属の強化、
アメリカの一部化、深化した占領というか間接統治ということなのか、んー残念。
真のナショナリストでありえるかは、アメリカとの関係を、
どう言っているかということにつきるね。

日本の安全保障のあり方についての検討は、またの機会に…。